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ドニー ダーコ


Writer : matsushi


Type/ : 2021-01-12 / blog

Amazon primeで「ドニー ダーコ」を見た。難解な映画だというネットの評判である。何回も見直す人が多いらしい。
一回見た印象ではたぶん次のようだろうと仮説(個人的解釈)を立てた。
・監督がタイムスリップ、タイムループモノを作ろうとしてエンディングをどう収めようか分からなくなった説
・主人公がエンジンの下敷きになって死ぬ間際に見た一瞬の夢だった説
・歌詞とともに挿入されるtears for fearsのmad worldに触発されてサイケなストーリーを創作した説

ネットでは、続編が作られ、そこで全ての謎が明かされるのではないかと期待している人が多いようだ。
と書いて、「ドニー ダーコ2」があるらしいことを知った。映画として日米ともに公開されておらず、現在DVDも無いようだ。Amazon primeにも見つからなかった。輸入DVDで見た人によると典型的な一作目劣化版でスタッフも違うとのこと。
一作目の監督リチャード・ケリーは映画化権を持っていないらしい。それでも一作目が好評だったので一作目のディレクターズ カット版を作ったらしい。
ともあれ「ドニー ダーコ2」は名前こそ続編だが別物のようだ。

映画の中で僕が覚えている限りの伏線を列挙してみよう。
・主人公は精神的に問題を抱えており薬を服用している、諸々の支離滅裂な事件は一見この副作用のように見える。
・ウサギみたいな格好をしたタイムトラベラー?が出てくる、諸々の支離滅裂な事件はこのウサギが起こしているように見える。
・物理の教師が主人公に相談されて「時間旅行の哲学」という本を貸してくれる、この映画はタイムトラベル物かと思わせる。
・近所の認知症的なお婆さんが実は元学校の教師で「時間旅行の哲学」の著者であった、このお婆さんが謎解きをしてくれると思わせる。

言うまでもなくこれらの伏線は回収されない。
先のディレクターズカットをネットで調べると、「時間旅行の哲学」のテキストが挿入されたりしていてまるでこの本の内容が謎の全てであるような編集になっているらしい。
でもそれはたぶん違うと思う。
これもまたそれらしく思わせる伏線に過ぎないはずだ。
いつになるか分からないが、リチャード・ケリー監督はあっと驚く続編を作ってくれるはずである。

どうでしょう?
興味をそそられましたか?
ナゾは謎のままで、解決されなくても十分面白い。
よくできたSFのようにあっと驚くような結末が無くても、説明が不足していても作品として完全に成り立つ、それもたいへん興味深い作品として。

この映画に作り手としての共感を感じるのは、周到に計画された伏線が回収されずに、そのことがかえって面白みを増していることだと思う。
NewsGatheringの音楽に通じるところがあると感じるのである。

つづく
©️Planet Wave