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神の存在(その1) -存在と僕のストーリー(第八章)-


Writer : matsushi


Type/ : 2021-06-13 / blog

神は、電気を動力として用い、電子部品で構成されたコンピューターを使ってこの宇宙を設計したはずだ。
なぜならこの宇宙では光速度が一定、かつ光の速度を超える物質が存在しないから。
もし電磁波より速い速度で情報伝達できる道具で設計していたら、その物質が光にとって変わっているはずだし、そんなものがあるなら真っ先に神が使っているだろう。
それゆえこの宇宙の設計者としての神は限りなく人間に近い…

僕は目に見えるものが全てだとは思わない。
宇宙の果て、無意識、誰も足を踏み入れていないクレバスの底。
人間の論理は演繹的に機能する。
あくまで初期値を外挿しているだけだから、そこまで想定外の世界が算出できるわけもなく。

「神はどこにいるのだ」
「神はどこにもいない、ただ存在するだけだ」

宇宙船が太陽系を飛び出したり、明日の天気を予報できたりするのだから人間の論理は正しいのだろう…
一方で間違いないのは、その論理の外に何かが存在していること。

暗いトンネルを光に向かってすぅーっと飛んでいくとだんだん目も眩むほど光が強くなって、トンネルを抜けたとたんそこはお花畑だった。
爽やかな香りと穏やかな暖かさ、今まで何か気にかけていたことがあったような気がするが、もはやそれがなんだか思い出せない。
「そうか、全ての人間が最悪のことに向かって突き進んでいるなんて、そんなわけあるはずない」
悟りの境地とはこのことか、これまで経験したことのない可笑しさが無意識から湧き上がってきた。

つづく