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人間原理


Writer : matsushi


Type/ : 2020-11-24 / blog

この宇宙が誰かのシミュレーションではなくて神が作ったとすれば、
光は絶対的なモノではなく、相対論的宇宙観は成立しなくなる。
というのが前回までのあらすじである。

逆に観察者としての”神”が作ったこの宇宙が
観察者のなんらかの制約によって光でしか観測できない事情があって、
光を超えるモノが存在しないとすると...
それは現代の人間の宇宙観なのだが...

c=λ✖️f
c:光速、λ:波長、f:周波数

周波数は振動の頻度であり、
宇宙の収縮と膨張の気の遠くなる周期であり、
量子のスピンである。
光速度の別表現として光速イコール周波数なので、
周波数もやはり”この宇宙”では唯一絶対的な存在ということになる。
言い換えると振動は物理の本質である。
そして人間の五感もまた振動を捉えようと研ぎ澄まされ、
そこから危険を察知したり、快感を得たりできるように進化した。
匂い、味、触覚は振動とどう関係するのか?
それぞれ変化を検知しているのであって、変化率を振動で表すことができるよね。

コウモリが音波で世界を見ているように、
ヘビが熱を感知しているように、
カエルが物体の移動量を見ているように、
人間はそれら全ての情報を含めて周波数として捉えて世界を認識している。

同じ宇宙に住んでいるエイリアンはやはり光の制限を受けている。
亜光速の飛行では決して地球を訪問することはできない、かな?
カール セーガンのコスモスではそんな理屈でUFOを否定していたが、
近年の天文学ではわずか数光年の先に地球型惑星が発見されており、カール セーガンもタジタジだ。
科学技術の進化は速い。

ともあれ周波数のことを言えば、
光にしても音にしても電波にしてもその物性とは関係なく周波数自体は”この宇宙で”普遍となる。

人間原理とは「我思う、故に我あり」ということで、
人間が観察し、考察しているからこの宇宙はこういう形をしていて、
その中に人間が存在している、
という因果逆転、輪廻転生の宇宙論である。

既に相対論始めこの世界の不思議な物理現象の説明には慣れている現代人ではあるが、
実は結構あやふやな公理の上に成り立っていることには気が付いていないのではないだろうか?
「胡蝶の夢」とはカミが”この宇宙”の中にいる神なのか、
外にいる”神”なのかの問いである。
そして中にいて人間原理に支配されている人間にはその問いの答えは決して見つけることはできない。

つづく
©️Planet Wave
#画像:光は重力によって曲げられる(重力レンズ)