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ディソナンスレベル


Writer : matsushi


Type/ : 2020-12-05 / blog

美意識?

周波数によって音程が生まれる。
異なる複数の周波数を重ねることによって水の波紋のように波形が足し算されて新しい波形が生まれる、これで音色が生まれる。
更に複数の音色どうしが共鳴して別の周波数を生じる。倍音を重ねていくと音程差が生まれ、複数の音程を重ねると和声が生まれる。
一つの曲はどのくらいの波形でできているのだろう。
波形の素、正弦波で数えるとたぶん数億ってところじゃないだろうか。

コーラスが綺麗に聞こえることは実に不思議である。
古典和声では音程が近すぎると濁って聞こえると教わる。
が、現代の感覚では増7度、ルートの半音下はメジャーセブンと呼ばれオシャレ音楽の定番である。
バークリーのディソナンスレベルだと増7度より増4度が最も不協和であるとされる。いわゆるディミニッシュコードである。ここからの4度進行、ドミナントモーションが不安定から安定への推進力があるとされる。

古典的な協和、不協和の拠り所であった周波数による倍音構造では説明できなくなってしまった。
確かに山下達郎のM7は明るく軽やかに聞こえてしまう。
ポップスなのでベース楽器による進行感が助けになってるとは思うが、ドビュッシーの増7度を聞いてもはかなさは感じるものの、もはや違和感はない。

協和、不協和を基本として構築された音楽理論は上記の一例のように常に変革され発展してきた。
今に名を残している作曲家は美しいメロディーを書くから残っているのではなく、調性に対する挑戦の結果、名を残している。

調性はいつの時代も音楽家がテーマにしてきたモノで、いわば音学発展の推進力みたいなもの。
バッハ、ドビュッシー、バルトーク、シェーンベルク、パーカー、マイルス、コルトレーン、ブーレーズなどが時代じだいの変革者として思い浮かぶ。

美意識の変容、多様性、LGBT、様々な価値観が生まれ、淘汰されながら進化していく過程を音楽もまた辿るのであろう。

ディソナンスレベルを通じて人間の変化、深化を表すことができるので、音楽は人間を理解する上での重要な要素となるはずだ。
物理学、心理学、音楽を統合的に扱うことを目標に活動中です。

つづく
©️Planet Wave