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脳内ドーパミンに聞け!


Writer : matsushi


Type/ : 2021-04-29 / blog

大学時代、パンクバンドを組んでいたことがある。
1978〜79年当時、日本では相当早いパンクバンドだったとのことである。
耽美的インテリパンクと言われていたストラングラーズのコピーとオリジナルを半々に演奏し、P-modelやフリクションの前座をするなど金沢にあっては結構な活躍をしていたと思う。
この蝉丸のメンバーは過激なアナーキストかと思いきや、オリジナルメンバーからは今や大学教授2人を輩出し、インテリパンクを地でいっていたことになる。
メンバーの4人はそれまでそれぞれにハードロックやプログレッシブロックを主にやっていて、パンクはあくまでフルパワーの音楽として捉えており、一度は通った方が良いプロセスくらいの認識だった。
が、心理学科の当時学生だったまんま私生活パンクのドラマーS氏がパンクのメンタリティー、当時日本でパンクをやることの意味など、毎晩飲みながら誰かれ構わず議論をふっかけ、グデングデンになりながら言えないようなことも含めてメンバーを洗脳していったのである。
この時の経験はのちにそれぞれが音楽に対する理解を深めていくきっかけになったと思う。
ちなみに、僕もクニオもホージも蝉丸のオリジナルメンバー、サポートメンバーであった。

人間の成長プロセスとして理性、知識、思考力と同じように感情もまた成長させていかなくてはならない。
感情は無意識の産物だから、無意識の成長は経験と意識の深化でしかもたらすことができない。

学生時代は誰もがそうであるように上手に演奏することばかり考えていた。
でも今はDAWのおかげで曲をどう作るか、どう聴かせるかにエネルギーを使っている。
これこそが音楽の本質ではないだろうか。
上手、下手はあくまで相対的な比較でしかなく、手段の一つでしかないという考え方である。
一方、演奏技術から曲の着想を得ることも古典から現代までの作家の方法論の一つである。
確かに着想はいろんなところから得ることができる。
僕がよくあるのは、引っかかる音色、深い映画、工場などのホワイトノイズ、興味をそそられる楽理等々、脳内の音楽ドーパミンが分泌され、なおかつ直接的にメロディーなど鳴っていない環境に触発されて、だ。
演奏技術もその中の一つかもしれないが直接的すぎる気もする。
なにしろ音楽に上手い下手など無いのかもしれないから、若い時はお化けを追いかけてたのかもしれない。

機会があれば大学の軽音楽科部の発表会を見るのが好きだ。
S大学の学祭でみたバンドはオリジナリティ、独創性がすごいと思った。
反対にH大学に行った時はがっかりした、アイドル志向みたいな音楽的に何にも面白くないバンドばかりだった。

どう演奏するか?
何を演奏するか?
その意味は?
いつも脳内ドーパミンに問いかけている。

©️PlanetWave