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僕らの音楽遍歴11"武満徹全集全5巻”


Writer : kunio


Type/ : 2021-08-10 / blog

必ず紹介したいと思っていた武満徹の全作品340曲をCD55枚、書籍5巻に収録した全集である。没後、並々ならぬ情熱でこの全集を出版された小学館の功績に感謝したい。失われた音源の数々を、放送局、映画会社、レコード会社の倉庫から発掘、この全集で初めて聞くことができたミュージックコンクレートと呼ばれていた貴重なテープ音楽など、圧巻というほかない。
大学の図書館などに収蔵される類の資料としてごく少数出版されたのだろうが、私は幸運にも、東京都の図書館ネットワークのおかげで聞くことができた。いつもお世話になっている大田区図書館に東京都内の他区の図書館に収蔵されているものを取り寄せていただいた。なんと全巻で1資料として貸し出していただき、全部PCにリッピングした。
なかでもお気に入りは第3,4巻の映画音楽である、砂の女、東京裁判、写楽、黒い雨、どですかでん、伊豆の踊子、アントニオガウディ、愛の亡霊、乱、利休、狂った果実。東映特撮映画で怖かったマタンゴのテーマなんてのもある。テレビ音楽では、夢千代日記、未来への遺産など、きりがないのでこれくらいにしておくが、とにかく名曲の宝庫である。
NewsGatheringは、Intermezzo(間奏曲集)をクラシックでもポピュラーでもない、どちらの要素も楽器も自由に使いながら音楽を作ってみたいというコンセプトで取り組んできた。そんな中で、武満徹の作品は常に「うん、大丈夫、やってみなさい」と語りかけてくれていたように思う。
NewsGatheringの間奏曲集はシングルでのリリースは差し控え、Youtubeのみで発表してきたが、程なく6曲目が完成するので、一つの節目として、まとめて配信することを計画している。ぜひご期待頂きたい。