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NewsGatheringの作詞術


Writer : kunio


Type/ : 2021-04-07 / blog

間もなく新曲Shadow Phenomenology影の現象学(ないた赤おに)がリリースされる。「21世紀のプログレ」と言えるようないい曲ができたのでぜひ皆さんに聞いていただきたい。
今回はこの曲の作詞プロセスを紹介させて欲しい。すでにリリースしたFractal などもこの方法で作詞されている。
最初に断っておくが、私の英語レベルは中学生程度でお恥ずかしい限りである、英語としてヘンなところがあると思うが、そこはご容赦願いたい。
歌メロは大抵、どんな言語かわからないような言葉を伴って降ってくる、とりあえず、仮の言葉に置き換える。例えばこの曲では”Hey,man never cry many anymore.Just a little seeds become a big tree sing a lullaby"という仮詩にした。
仮詩でのバージョンをYoutube にアップしているので聞き比べて欲しい。
https://www.youtube.com/watch?v=2b19fmRsvoM
短いフレーズに分解し、韻が似ていたり、語感が似ているフレーズを書き出してみる。冒頭の画像のように言葉を書きなぐったメモのようなものを作っていく。最近はラッパーのために韻を検索する便利なサイトもあるが、曲に合いそうなフレーズを選ぶためにはセンスが必要だ。材料がそろったところで、つなぎ合わせて曲のイメージに合う詩にしていく。
30年前この曲にホージが最初につけたタイトルは”コンクリートの壁”という全く色気のないものであった。ライブで演奏する頃には”ないた赤おに”というタイトルになっていた。広く知られた童話のタイトルである。
その頃の演奏をYoutube にアップしているので聞き比べてみて欲しい。
https://www.youtube.com/watch?v=p84W5SEL9hw
そのままの牧歌的なイメージで新バージョンの曲作りを進めようとしていたら、石本松志から”待った”がかかった。赤おに、青おにという存在について、もっと想像力をはたらかせて考えてみようというわけで、我が国の心理学のレジェンドである河合隼雄先生の著作”影の現象学”を紹介された。読み返しながらこだまで呼び合う二つの魂というイメージが浮かび、独特の陰影のある世界観をもつ歌詞ができたと思っている。美しい曲とともに楽しんで頂きたい。
完成した歌詞はこんな感じである。
Shadow Phenomenology 影の現象学(ないた赤おに)

Hey Man, never cry baby any more.
(ねえ君、そんなに泣かないで)
Just a little seeds become a forest sing a lullaby.
(小さな種でさえ森になって子守唄を歌うようになるよ)
Skyline over time looks many face
(稜線は時とともにたくさんの表情を見せる)
Reflected to the lake, Between the histories swing a memory.
(湖に映り、歴史のはざまで記憶が揺れる)

We are calling, calling. Light and shadow.
(僕らは呼び合っている、光と影)

Hey Man, Are you hearing the molody.
(ねえ君、あのメロディが聞こえているかい)
Just a little seeds become a forest sing a lullaby
(小さな種でさえ森になって子守唄を歌うようになるよ)

I can still (be ) hearing distant echo.
(僕には今も遠い木霊が聞こえる)
We call each other distant echo.
(僕らは遠い木霊で呼び合っている)
I can still (be ) hearing distant echo.
(僕には今も遠い木霊が聞こえる)
We call each other must say good-bye.
(僕らは互いにさよならを告げる運命だから)

Sharman inner shrine primitivity,
(原初の内なる神殿に御座す呪術師よ)
But the mirror world, Keep someone victim bring for paradice.
(鏡の世界で、誰かを犠牲者にして楽園に追放し給え)
Hey Man,for your smile coming Tommorow.
(ねえ君、明日君が笑顔になれるように)
Just a little seeds become a forest sing a lullaby
(小さな種でさえ森になって子守唄を歌うようになるよ)